風来坊に憧れて

『チャリンコ族はいそがない』

チャリンコ族はいそがない

チャリンコ族はいそがない

という本をご存知だろうか。著者のサイクル・ツーリングの記録を綴った本なのだが、これがなかなかに熱い。著者の熊沢正子さんは女性の身でありながら、なんと2年と1ヶ月もの間日本中を放浪していた。もちろん、ホテルめぐりのような優雅な旅ではなく、野宿を基本とした貧乏旅行だ。

 この本は偶然立ち寄ったブログで紹介されていたもので、旅行好きの僕は旅のハウツー本としていいなと思いアマゾンで購入したのだが、ただひたすらに旅の記録が書いてあるだけの本書に少しがっかりした。しかし、僕も風来坊や旅人に憧れる者として、この本にはすごく心がくすぐられる。

 僕はまだ彼女のような大掛かりな一人旅の経験がないが、いつかはやってみたいとずっと思っている。自分の目でいろんなものを見てみたい。いろんな土地を訪ねてみたい。いろんな人と話してみたい。しかし現実的にはいろんな繋縛があって、なかなか初めの一歩が踏み出せないでいる。でもよくよく考えてみれば現実的な繋縛なんて大したものなんかないんじゃないか、と思ったりもする。結局自分を縛り付けている一番のものは自分自身なんじゃないのかな。

 しかし、今年度いっぱいは一応の目標があるので旅にはでれそうもない。これはこれで仕方のないことだ。自分で決めたことだし…。ああ、旅に出たい。今すぐ出たい。いろんなものを放りだして、寅さんのような気ままな旅がしたい。